“老記者の回想”
あのとき私は同僚とデパートの屋上にのぼって取材を続けていたんですが、
「こりゃあ危ないナ」と感じて下りてきたときには、大通りは火の海になっていました。 


さぁ弱った、どっちに逃げればいいのかわからない。
ところが、本能的な動きだったんでしょうねぇ、私も同僚も走りながら、首から下げた
ペンタックスのフィルム交換を始めているんですよ。おかしなもんです。。 


そのときちょうど背後からガラガラという走行音と腹に響く振動とともに、特車隊がや
ってきた。ええ、以前神宮外苑のパレードで見たことのある、二階建てのように背の高
いタンクでした。
それと一緒に機動隊のパトロールカーも炎の中から現れまして。
随分と無理をして、わざわざ助けに来てくれたのでしょうねぇ。
若い警察官に
「君たち、やはりまだいたのか、早く乗りたまへ!」
と、声をかけられました。
そのとき、私は無意識のうちに、咄嗟にシャッターを押していて、写っていたのがこの
写真です。
記者人生の中で、あんなに怖い思いをしたのは、東京大空襲以来でしたねぇ。


……安藤記者は、我々の発見した古い写真を眺めながら、そんな話をしてくれた。
特集記事に使わせていただきたいと申し出ると、彼は、何とも言えない、
やや悲しそうな顔をしながら、
「よろしいですよ」
と、静かに言った。

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【テーマ】
自由

【製作者】
Tac Miyamoto
BANANA GUYs http://www.tepproject.com/banana/

【エントリー部門】
CG合成部門

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 今回、個人的には合成、画面加工を一切使わない「一発撮り」で勝負してみようと考
えていたのですが、〆切に間に合いそうもなくなってしまったので、何はともあれまず
一作!合成画像でお茶を濁すことにしました、すみませんm(_ _)m
 少年時代、特に映画・映像関係の仕事に就くことを標榜し始めてからは、古き良き時
代の特撮怪獣映画を貪るように見続けました。ところが不思議なことに、主役として活
躍する怪獣たちよりも、彼らに立ち向かう人間たち……ミニチュアワークによる防衛隊
の描写や、ミニチュアセットそのものばかりが強烈に印象に残ってしまいました。自分
は怪獣そのものを見るというより、ミニチュアワールドを満喫するためにそんな映画を
見ていたんだなぁと、今になって気づきました。そんな思いのひとかけらを、ちよっ
としたパロディ画像とショートストーリーで表現してみました。
 M4A3E8シャーマン戦車は各社のパーツ寄せ集めで作った1/35スケール。ただし、
米軍仕様で仕上げましたので、画像処理で陸上自衛隊所属っぽくしてみました。傍らの
警察官とトヨペットクラウンのパトカーは「タイムスリップグリコ」のオマケです(笑)
背景は、仕事で都内をロケハンしたときに撮り貯めておいた風景写真を活用しました。