若いもんには負けんぞよ!!
1942年7月ナチス占領下のパリ近郊の町。
最新鋭のタイガー重戦車が配備された。

「ううむ、うわさには聞いていたが、重量57トンとはものすごいな」
「こんな怪物が相手では、チャーチルもルーズベルトも勝てるはずはないよ」
「フランスは永久にナチに支配され続けるのか、、、」

そんな人々の声のなかで、一人の老紳士は思わずつぶやいた。
「わしが若いころは、ドイツのじゃがいも野郎なぞ、敵ではなかったわい」
第一次世界大戦の勇者であるピエール男爵であった。

次の日、納屋に隠されていたわずか6トンの愛車に乗りこんだ男爵は、
10倍の重さのタイガー戦車に戦いを挑んだ。

ズッドーン。
無敵を誇るタイガー戦車の88mm砲が火を噴いた。
しかし、軽快に動き回るルノーにはなかなか当たらない。
「ほれほれ、こっちだあ、あかんべー、悔しかったら当ててみろ」

ズッドーン。
「うぬぬぬ、じじいのくせに、すばやいな」
ズッドーン。ズッドーン。

こうして、戦いは1時間ほどつづいたが、
さすがに70歳を過ぎた戦車長の表情には疲労の色が隠せなかった、
そしてFT17の動きがしだいに緩慢になっていった。

「ふふふふ、どうしたおいぼれ、これで終わりだな。死ね、じ、じじいー」
スッポーン。
タイガーから放たれた弾丸はFT17に向けて一直線と思いきや、実は空砲。
「装填手どうした?」
「た、た、弾が、、、」

「ハ、ハ、ハ、ハ、カンラ、カラカラ、撃った弾の数くらい数えておけ」
男爵は口に蓄えた白いひげをさすりながら、FT17をタイガー戦車に向けて走らせ
た。
「タイガーの側面は前より薄いから、50mまで近づけはこの非力な37mm砲でも貫通す
るはずじゃ」

「ううう、操縦手、退却だああ。」
「ね、ね燃料が、、、、」
「なんだとおお、、」

バッス、ボッカーン。
FT17の放った砲弾は、タイガー戦車の側面装甲を貫通し、大爆発。

「まだまだ、若いもんには負けんぞよ、ハハハハ、ハハ」

この武勇伝は、連合国だけでなくソビエトのスターリンにも伝わり、翌1943年の大反
攻へのきっかけを作った。
快速戦車T34によるタイガー戦車に対する戦術の萌芽はここにあったというわけであ
る。






長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。


作者:T.M.
部門:実写部門